今を去ること二十数年前、私がまだ学生だった頃の話。
当時勉学よりもアルバイトに忙しい日々を送っていた私であったが
そのアルバイトの中のひとつに、地元放送局の不定期に開催
されるイベントのアルバイトがあった。
おもにラジオの公開放送で、機材の運搬とか観客の整理とか
チケットのモギリとか・・・ようするに下働きなんでも屋
みたいなことをしていたのだが、そのおかげで地方にいながら
にして、けっこう芸能人をナマで見る機会が多くあった。
といえども地方の悲しさ・・・
中森明菜、松田聖子、田原俊彦 近藤真彦など
超一流アイドルはやってこない。
ワンランク下がったところの早見優、松本伊代程度が
ほとんどだったが・・・。
ここで2,3のエピソードを書いてみると
なぜだか岩△良美はいつも不機嫌で何が気に入らないのか
ステージではテンションがまったくあがらない。
姉の岩△宏美は歌唱力抜群のため
「くちパクじゃないのよ」ということを観客にわからせるため、
途中でわざと歌詞をまちがえたりする。
たまたまトイレで出くわし、並んで小用をたした
松△しげるは、げげ!黒いのは顔だけではなかった。
w( ̄▽ ̄;)wワオッ!!
などなど。
まぁそんなことはど~でもいいのだが、今日の話は
当時、たのきんのライバルとまでいわれた「新田純一」。
現在は俳優として活躍しているそうだが
(名前を聞いただけではわからない人は、
オフィシャルブログでも見てください。)
とはいえじつはこの当時のアイドル新田純一君が
どうこうの話ではない。
その日、ラジオの公開放送のステージを終えた純一くん。
当時は人気絶頂のため殺人的スケジュールで次の仕事にむけて
とるものもとりあえず新幹線に飛び乗らなくてはならない。
じつは純一くん本人はステージをはけるやいなやそのまま
タクシーに飛びのり、すでに会場を去ってしまっている。
楽屋に残っているのは、やり手風のメガネをかけた
彼のマネージャーらしき女性ひとりだけ。
彼女も楽屋を片付けて早々に純一君のあとをおわなければ
ならないのだが、そのとき受付からファンの子たちの
心のこもったプレゼントがどどっと楽屋にとどいてしまった。
やり手風メガネのマネージャーの女性もそんなものをもって
移動するわけにもいかず・・・。
「ちょっと、あんたたち!」
と、われわれ十人ほどのアルバイトをよびつけると
「このプレゼント・・・あんたたちにあげるから
みんなで分けてもってかえって。・・・おもてでファンの子
にみつかってバレないようにね。じゃ」
とやり手風システム手帳を小脇にかかえ
そそくさと純一君を追って行ってしまった。
やったらっきい!とばかりにわれわれアルバイトはその場で
じゃんけんをはじめた。中身をみると喧嘩になるというので
紙袋やらリボンのついた箱やらの包みのままうらみっこなしで
みんなでわけた。
わたしのゲットしたチェック模様の紙袋・・ずしりとして
けっこう重い。ムフフ・・これは期待できるぞとおもいながら中身を
みると・・・・。
その中にあったのは・・・ビニールパックにはいった
大量の茹でられたグリーンアスパラガス。
しぇー!!はずれだ!
(・・・どうりで重いはずだ・・・。)
ところが・・・・・
一緒に入っていた手紙をみると、かわいい丸文字で
「純一くんがすきなグリーンアスパラ、心をこめて
茹でました。」みたいなことが書かれてあって、
それを見てしまうとプレゼントゲットでそれまで
もりあがってた心が一気にトーンダウン・・・・
というより、
この女の子・・・このアスパラを純一くんが
たべてくれると信じて朝早くからおきて茹でたんだろうな・・・。思うとなんだかせつな~くなってしまった。
ルックスでは純一君に決してひけをとらないとはいえ、(イテッ)
名も無きアルバイトの私がこれをくってしまっていいもんだろうか?
と自問するが、もうこのアスパラは純一君にはとどかない。
しかし、捨てるわけにもいかない・・・。
ええい!アスパラの供養じゃ!とルックスでは純一君に決して
ひけをとらない私は(イテッ)、一緒にそえられた
キューピーマヨネーズの小袋をひらいてアスパラの
上にかけると、一気に手づかみでそれを口に入れた。
・・・・割り箸かプラスチックのフォークくらいは
一緒に入れておけよな・・・と思いながら・・・。
あれから二十数年・・・。今でもあのファンの子は
おばさんになりはてながらも、グリーンアスパラが
純一君にとどいたと信じて生きているのであろうか?
しかし、真実はルックスでは純一君に決してひけを
とらないとはいえ(イテッ)、名も無きアルバイトの私が
くってしまったのだ。
さすがに心をこめて茹でただけあって、硬すぎず
やわらかすぎず、絶妙のゆで加減でありながらも
純一君にはとどかなかった
グリーンアスパラよ!フォーエバー!
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